田口ランディさんの『被爆のマリア』を読む。
広島の原爆を題材にした短編4作からなる現代小説。
原爆のことを小説に書くということは、きっととても勇気がいることだと思う。
戦争や原爆については思想的にもいろいろな考えの人がいるだろうから、この小説も万人受けするものではないだろう。
でも、戦争を知らない私のような世代は、戦争や原爆のことを普段の生活の中で考えるきっかけにはなると思う。
私は欧州に行って「日本人は働きすぎだなあ」と、事あるごとにしみじみと思って哀しくなったし、今もそう思っているけれど、日本は60年前に原爆を落とされた唯一の国だったことを忘れていた。
たった60年しか経っていないのに。
体だけではなくて心も全て破壊された小さな国が再生するにはどれだけのパワーが必要だったんだろう。
そういうものの上に、今のこの安穏とした生活があるんだということを、出来るだけ忘れないように暮らしたいと思った。
一話目の「永遠の火」がとても良かった。
親元を離れて生活しているひとに特に読んで欲しい。
広島にはまだ一度も行ったことがないので、今度行ってみようと思います。
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