祖父江慎氏の装丁が鮮やかな1冊。
それから、この人の本は少しだけ気になって、何冊か読んでみた。
面白いけど、この人の文章はあまり好きじゃない。
うまく云えないけど、文章にムラがある気がするのです。
技巧を凝らしているときと、稚拙なときと。
行間を読ませるときと読ませないときと。
この人の書く作品は、いつもテーマが大きすぎて、なんでもありの世界なので、文章の上手い、下手、バランスなんてものは関係なくなっちゃうんだと思うけど。
私はそれが、なんとなく好きじゃないのだ。
プロっぽくなくて。
でも、選ぶテーマがユニークなので結局読んじゃうんだけどね。
(と、偉そうに書いてる私の文章こそ何?!って感じですが、、、。いいのだ。プロじゃないから。笑)
さて、この『7days in BALI』。
私の大好きなバリ島を舞台にしている。
作品の出来としてはどうなの???という感想ですが(終わり方は特にひどかった)、
バリの、あの独特な濃密な空気感はた~っぷりと伝わってくる。
この人の書く世界は毎度のことながら本当になんでもありだけど、私もなぜかバリ島では、行くたびに死について考えてしまうような不思議な体験をする。毎回。
(はじめて行ったときは本当に死にかけたし、、、。これを読んでいるかもしれない、Oさん、その節は本当にご迷惑&ご心配をお掛けしました。)
こんな風に書くとこれを読んでるひとはひくかもしれないけど、バリ島には本当に何かがあると思う。
神秘的だけど、怖くはない何か。
原始的な何か。
命の根源に触れるような何か。
バリについて思うときは、旅行の記憶や個々の思い出じゃなくて、「バリ島」そのものを想うことが多い。
そういう気持ちにさせる場所は私に取ってはじめてだ。
最後に行ったのは3年前。
砂埃の舞うボコボコの道を、古いバイクに乗った若者が、手に手に携帯電話を持っていたのが印象的だ。服も靴もボロボロなのに、皆、携帯だけは持っている。少し、異様な光景だった。何か、デッサンが狂った絵を見てるみたいな、アンバランスな危うさを感じてしまった。
その後、テロが起こったりして、やっぱり、バリ島は少しづつ何かが狂っているのかもしれないと思ったことを、思い出した。
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