沖縄の食の調べものをしていて、久しぶりに本棚からこの本をひっぱり出して眺める。
ちょっとのつもりがぐーーーっと惹きこまれてしまった。
ああ。心はもう沖縄。
この本は作家の池澤夏樹さんが沖縄の食を紹介しているもの。
お店ではなく「食材」の話。
沖縄好きの私としては、この本の中に出てくる食べ物の八割くらいは制覇しているけれど、まだ二割は未体験。
今度行くときの楽しみに取ってある。
食べるものは、そのまま文化だ。
その土地で作られて、調理されて、食べられるもの。
脈々と続いているもの。
そこにその土地の文化がある。
むかしの日本はどの土地もそうだったと思う。
今は目を凝らして、つぶさに見つけていかないと、なかなか見つからない感じ。
現代の日本の食は便利で豊かになったかもしれないけれど、どこか殺伐としている。
沖縄にはまだかろうじて、普段の食卓に文化が漂ってるんじゃないかと思う。
それが沖縄に惹きつけられる理由のひとつでもある。
池澤夏樹さんの端正な文章と、垂見健吾さんの躍動感のある写真が美しい一冊です。
▼『神々の食』 文:池澤夏樹 写真:垂見健吾
コメント