映画化もされた、小川洋子さんの『博士の愛した数式』を読む。
80分しか記憶が持たない数学博士の物語。
むかし、NHKのドキュメンタリーで同じような症状の男性を追ったものを見たことがある。
寝て起きると前日あったことは全て忘れていて、記憶障害になる直前の記憶が最新の記憶、という状態に戻ってしまう。
毎朝、毎朝そこからはじまる。
学習した事を記憶はするが、経験したことを記憶できない男の人のドキュメンタリー。
彼には奥さんもこどもいて、彼の記憶の中の息子は3歳で止まったままだ。現実の息子はどんどん成長しているのに。そして、朝起きて3歳のはずの息子が大きくなっていてびっくりしてしまうのだ。毎朝。
なんて残酷な病気なんだろうと思った。
そのドキュメンタリーのことがずっと忘れられなくて、この本も読む気になれなかったのだが、ある人に薦められて手に取った。
この物語には残酷な記憶障害という縦軸にたいして、数学という過去と未来をつなげる横軸がある。
この本を読んでいると身の回りの無機質な数字というものが浮かび上がって踊り出してくる。
よい本です。とても。
そして、小説家ってすごいなあ、と思わず唸ってしまう一冊です。
オススメです。
本当に残酷な病気ですね。
知人にこの本がとてもよかったと
薦められたので読んでみようと思っています。
投稿情報: k | 2006-01-29 17:52
Kさん。
コメント、有難うございます。
読んだら是非感想など、また教えてください。
投稿情報: okuizumi | 2006-01-30 15:55