入院中に桐野夏生の新刊『残虐記』を読みました。
桐野夏生は好きな作家のひとりですが、今回もまたもやタブーなテーマです。
物語は、著名な女流作家である主人公が25年前に起こった少女誘拐・監禁事件の被害者は自分だったと、当時の事件の記憶と、ひとつの事件が自分に及ぼした「その後」を手記にして告白しているという内容。
タイトルも示している通り、決して愉快な内容ではないですが、
このヒトの書くモノは本当に凄い。
なんなんでしょうか。
性的人間という言葉が出てくるのが印象的でした。
人間は誰もがみな性的人間のような気がします。
タイトルの『残虐記』は谷崎潤一郎氏の同名小説から取ったそうです。
お借りした本の感想を・・・。
これは一気に読んでしまったなぁ。人を監禁するという行為はものすごく恐ろしいけれど、人の押さえきれない好奇心も恐ろしい。
昔、父と“縄文杉を見にいく観光客が増えている”ってニュースを見てたら「こんなに人がたくさん行ったら、周りの土が踏みしめられて根っこが痛む。見たいなら写真を見てガマンすればいいんだ。
誰も興味も持たないから、縄文杉は1000年も生きる事ができたんだ。無関心でいるって事も大切なんだよ。」
なーんて言ってた事を思い出したなぁ。
投稿情報: kuro | 2004-05-27 22:10
>無関心でいるって事も大切なんだよ。
うーん。深いですなあ。
好奇心にも2種類あるような気がします。
純粋な好奇心と不純な好奇心。
投稿情報: okuizumi | 2004-05-28 00:02